| 研究概要 |
Prunus属には,ウメやスモモ,あるいはオウトウやアーモンドなど多くの配偶体型自家不和合性を示す果樹が属する,これまでPrunus属果樹の自家不和合性に関しては,花柱側因子であるS-RNaseが同定されているが,花粉側因子については未同定であり,その機能は未知である.本研究では,自家和合性のPrunus属果樹の解析を通じて,Prunus属果樹の自家不和合性に関与する未知の花粉側因子を同定して,その機能を明らかにしようとするものである.本年度は,以下の成果を得た.
1)ウメとオウトウの自家結実性遺伝子の解析
ウメとオウトウにみられる花粉側認識機構に変異の生じた自家和合性SハプロタイプのSFB遺伝子の構造を解析し,これらの自家和合性の原因を明らかにすることに成功した.この結果は,昨年度の研究で花粉側因子の候補遺伝子として同定されたSFBが花粉側因子であることを裏付けるための有力な証拠の一つとなる.
2)倍数化による自家和合化機構の解明
米国ミシガン州立大学に保存されている酸果オウトウのSハプロタイプ領域のクローニングを行い,いくつかのSハプロタイプにおいて変異が生じていることを明らかにした.今後,この変異が酸果オウトウの自家和合化の原因になっているかどうか検討して行く予定にしている.
3)S-RNaseとSFBの相互作用の検討
S-RNaseとSFBがハプロタイプ特異的な相互作用をするかどうか検討するために必要な組換えタンパク質の作製を試みたが,これまでのところ可溶性の組換えタンパク質は得られていない.
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