研究課題/領域番号 |
13460015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
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研究分担者 |
佐藤 明彦 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・ブドウ・カキ研究部, 主任研究官 (30355440)
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10211997)
山田 昌彦 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・ブドウ・カキ研究部, 研究室長 (00355439)
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 講師 (20330243)
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キーワード | カキ / 羅田甜柿 / PCNA / タンニン生合成 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本年度はまず、カキのタンニン生合成に関与する遺伝子の単離を試み、渋ガキを幼果期に樹上脱渋することによりタンニン蓄積能力を消失した果実を人為的に作成し、その果実とタンニン蓄積能力を持つコントロール果実とを用いて、両者の間で発現に差異のあるmRNAを単離することで、タンニン生合成に関与する遺伝子の探索を試みた。具体的には、両果実から抽出したmRNAから合成したcDNAを用い、Clontech社のPCR-Select cDNA Subtraction Kitでのサブトラクション法により発現に差異のあるmRNA断片を特定した。その結果、CHI、F3H、PALのようなフラボノイド生合成系の酵素をコードする遺伝子とともに、anthocyanidin reductaseをコードする遺伝子およびserine carboxypeptitaseをコードする遺伝子と近い配列をもつ遺伝子をクローニングすることができた。 そこで次に、この両者の発現様式を日本のPCNA品種である'富有'と'次郎'、中国のPCNA品種'羅田甜柿'で解析したところ、日本のPCNA品種ではタンニン蓄積能力の低下とともに、この両者の遺伝子発現が消失していくが、'羅田甜柿'ではanthocyanidin reductase遺伝子の発現は低下せず、serine carboxypeptitaseをコードする遺伝子に近い配列を持つ遺伝子の発現のみが低下することが明らかになり、'羅田甜柿'の脱渋機構の特異性が明らかになった。 さらに、'羅田甜柿'に'太秋'を交雑して得られたF_1集団で分離したPCNA個体とnon-PCNA個体を用い、この両者の遺伝子発現を調査したところ、anthocyanidin reductase遺伝子の発現はPCNA個体とnon-PCNA個体で差異が認められず、serine carboxypeptitaseをコードする遺伝子に近い配列を持つ遺伝子の発現のみがPCNA個体で低下していくことが確かめられた。今後、このserine carboxypeptitaseをコードする遺伝子に近い配列を持つ遺伝子の役割を同定することが、'羅田甜柿'の脱渋機構を解明する手がかりになると考えられた。
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