研究概要 |
1.海外導入品種を含むモモ品種の発芽特性の調査により、わが国の品種(武井白鳳、あかつき、清水白桃、白桃)では、12月以降の加温でのみ発芽がみられた。一方、台湾からの導入品種である'福州'では9月以降いずれの時期にも加温10日前後で発芽した。'福州'と'白桃'の交雑個体でも早期に発芽がみられた。台木品種では、筑波1号で特に早期の発芽することが明らかとなった。 2.モモ'よしひめ'2年生個体について、休眠導入前の6月より半月毎に全適葉後、25℃での発芽を調査したところ、6月下旬より発芽率は次第に低下し、9月中旬には発芽はみられなくなった。摘葉と同時に石灰窒素処理を行うと、発芽率は大きく増加したが、その効果も9月には小さくなった。6月以降も長日条件を維持して育成した樹では、自然日長で育成した樹に比べて、7月上旬から8月上旬にかけて発芽率は高かったが、8月中旬以降大きく低下した。 3.モモおよび近縁のウメについて,亜熱帯性品種と温帯性品種の種子ならびに一年生枝の発芽特性を調査した。モモとウメのいずれにおいても,亜熱帯性品種では,種子,葉芽,花芽のいずれも低温要求性が小さかった.そこで,異なる量の低温に遭遇させた種子,葉芽,花芽からアセトンパウダーを作製し,次年度のタンパク分析の試料を調製した.また同時に,これらを-80度で凍結保存し,RNA分析のための試料も調製した. 4.研究協力者であるオーストラリア、クイーンズランド州立マルーチー試験場のBruce Topp氏より提供された、少低温要求性品種'New Belle'および多低温要求性品種'O'Henry'の種子より実生を育成し、これに少低温要求性品種'Premier'および多低温要求性品種'白鳳'を組み合わせて接ぎ木し、実験材料の養成した。また、台湾およびタイ北部山岳地において、少低温要求性品種の生育特性と種子材料の収集を行った。
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