研究概要 |
1.多低温要求性品種'白鳳'と少低温要求性品種との交雑個体の生育様相を調査した。切枝では,'白鳳'と比べ低温要求量は相当に低減することが示された.また圃場条件で生育させた場合,'白鳳'に比べ開花時期が約4〜1週間早く,早期に低温要求が満たされることにより,初期生長の温度感応性が高くなるものとみられた. 2.低温遭遇後の生殖器官の発達と温度条件について、ファイトトロンを用いて調査したところ、25℃を越える気温では、胚のうの退化が著しく進み、結実率低下の原因となることが示唆された。 3.'あかつき','紅清水'および'清水白桃'の切枝(1芽)にシアナミド(0.5,1,2%),石灰窒素(1,5,10%),二硫化ジアリル(1,5,10%)を塗布し,最低気温20℃に保ち発芽を調査した.葉芽,花芽ともに,いずれの品種もシアナミドと石灰窒素の休眠打破効果が高く,処理時期が遅いほど発芽所要日数が短く,低濃度で発芽率が高かった.コンテナ植えの'紅清水'を11月下旬,12月下旬,1月中旬および1月下旬に上記ハウスに搬入し,同様の処理を行った.いずれの処理時期ともシアナミドの効果が最も高かったが,11月と12月処理では経済栽培が可能な発芽率には達しなかった.石灰窒素では1月中旬以降の処理で効果が認められた。処理時期が遅いほど発芽所要日数が短く,また低濃度での発芽率が高くなった.シアナミドと石灰窒素の休眠打破効果が高く,効果は低温遭遇量と密接に関係しており,低温遭遇量が多いほど低濃度での効果が高くなった. 4.ウメ'南高'および'二青梅'の休眠期ならびに休眠覚醒期の花芽と葉芽からmRNAを抽出し,サブトラクション法により解析したところ,休眠期と休眠覚醒期で転写量の異なる遺伝子がいくつか見出され,その中にcell cycleの制御に関わっている遺伝子が含まれていた.
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