研究概要 |
テッポウユリ,アジアティック系,オリエンタル系およびLA系のユリりん茎を用い,これらのりん茎を-1.5〜2℃の氷温下で長期貯蔵した場合の貯蔵可能期間を調べるとともに,ハードニング期間中および長期氷温貯蔵中のりん茎に対し温度降下処理を行い,処理後のりん茎の生存率を調べてりん茎の50%生存可能な品温(LT50値)を求め,生存率,LT50値とこれら系統間の長期氷温貯蔵に対する耐性とを比較した. その結果,アジアティック系ユリ'コネチカット・キング',オリエンタル系ユリ'ル・レーブ',テッポウユリ'ひのもと'のいずれでも,2℃湿潤の低温によるハードニングを与えるとより低い庫内温度で生存が可能となった.ハードニング期間は品種により異なるが4〜8週間が最適であった.短期間の乾燥は生存可能な最低到達品温を低くする点では有効であったが,'ひのもと'では氷温貯蔵後の切り花品質が低下し,他のユリでは乾燥によりりん片が腐敗したため適用は難しいと思われた. ユリりん茎の氷温貯蔵耐性には系統間による差異が認められ,'ひのもと'では9か月,'ル・レーブ'では8か月がりん茎の氷温貯蔵を行う限界であり,氷温貯蔵中にLT50値が次第に高くなった.'コネチカット・キング'は短期間の低温によるハードニング処理でより低い温度まで耐えることができるようになり,LT50値は貯蔵中に高くなったが,10か月後でもかなり低く,10か月間の氷温貯蔵が可能であった.LA系ユリの'トウランドット'ではLT50値は比較的高かったがが,10か月の氷温貯蔵後でも値がほとんど変わらず,長期間の氷温貯蔵が可能であった.
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