研究概要 |
1.イネ白葉枯病菌T7174菌株のhrp遺伝子破壊株の作製と病原性検定 わが国のイネ白葉枯病菌レース1の代表菌株T7174のhrp関連ORFについてマーカーエクスチェンジ法とトランスポゾン法により遺伝子破壊を行い、hrpA, hrpB, hrpC, hrpD, hrpF, hrpGおよびhrpX変異株を作出した.hrpG変異株ではHrpの恒常的発現が確認されhrpCオペロンのhrpC3(hpaP)では病原性の低下が認められたが、他では病原性は欠失した.同MAFF301237菌株についてhrp領域の塩基配列を決定した結果、T7174菌株とは90%以上の相同性を認め、T7174菌株との遺伝子交換・相補実験を行うに必要な情報を得た.現在、各変異株と3.のhrp発現培地を用い、各遺伝子の発現機構を解析中である. 2.イネ白葉枯病菌の非病原性遺伝子の探索 レース1,2および3に特異的プライマーを用いたPCRで特定したレース特異的DNA領域の近隣について、非病原性遺伝子(avrBs3ファミリー)関連配列を探索した。その結果、非病原性遺伝子全域と相同な配列は認められなかったが、avrBs3ファミリー共通の反復配列や既知のavrXa10反復配列の上・下流に相当する領域が存在することを見出した。このため本菌レース特異的領域の近傍をさらに精査中である. 3.イネ白葉枯病菌のhrp発現培地とhrp発現検出系の検討 イネ白葉枯病菌では人工培地上でhrp遺伝子の発現を行った例が無く、時間、発現の明瞭さ、検出バックグラウンド等の点で制約が多かった.ここでは、糖源をキシロースとする合成培地XOM2を開発し、各hrpオペロンのGUS融合体を作成して解析した結果、従来培地の100倍以上のhrp発現誘導を可能とし、その検出系を確立した.
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