研究概要 |
1.病原性関連hrp遺伝子群の構造解析 イネ白葉枯病菌MAFF301237菌株のhrp遺伝子群のhpa2からhrpFの全塩基配列を決定し,農水省解析のT7174菌株のそれ(現在非公開)と比較した.MAFF301237では29,670bpでT7174より42bp長く,差異はT7174でのびhrpE-hrpF境界の6bp単位の反復配列およびhrpFの3'末端側での36bpの欠失によった.各ORFコード蛋白質推定アミノ酸配列の相同性は98-100%で,本菌hrp遺伝子群の高度な保存を確認した. 2.非病原性関連遺伝子の構造解析 イネ白葉枯病菌の非病原性遺伝子を探索した.非病原性遺伝子特異的プライマーによりゲノムDNAのPCRを行い,産物の塩基配列を決定した.得られた既知非病原性遣伝子との高相同性領域をプロープとし,ゲノムライブラリーから非病原性遣伝子ホモログをサプクローニングした.また、イネ白葉枯病菌のレース3特異的領域近傍の解析を行ったところ、挿入配列の蓄積と非病原性遺伝子ホモログ領域を認めた.遺伝子破壊を行うことで、これらの領域の病原性との関連を検討している. 3.イネ白葉枯病菌のhrpXo依存分泌蛋白質の解析 植物病原細菌の病原性因子・抵抗性誘導因子のいくつかはhrp遺伝子産物が構成しているtypeIII分泌機構から菌体外に分泌されるとされる。イネ白葉枯病菌の分泌蛋白質同定を目的とし、本菌hrp誘導培地XOM2により精査した。その結果、hrp制御遺伝子:hrpXoに依存して分泌される種々蛋白質を検出した。これらにはtypeIII分泌機構より分泌されるものだけでなく、typeII分泌機構により分泌されるhrpXoレギュロンも含まれた。アミノ酸配列の決定により、うち4種をHrpE、HrpF、Hpa1およびシステインプロテアーゼと同定した。
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