研究概要 |
1.病原性関連hrp遺伝子群の構造 イネ白葉枯病菌N7501菌株のhrp遺伝子群のhpa2からhrpFの全塩基配列を決定し,農水省解析のT7174菌株のそれ(現在非公開)と比較した.N7501では29,670bpでT7174より42bp長かったが、各ORFコード蛋白質推定アミノ酸配列での相同性は98-100%で,本菌hrp遺伝子群の高度な保存を確認した. 2.非病原性関連遺伝子の構造 イネ白葉枯病菌の非病原性遺伝子を探索した.非病原性遺伝子特異的プライマーによりゲノムDNAのPCRを行い,産物の塩基配列を決定した.得られた既知非病原性遺伝子との高相同性領域をプローブとし,ゲノムライブラリーから非病原性遺伝子ホモログをサブクローニングした.また、本菌のレース3特異的領域の解析を行い、挿入配列の蓄積と非病原性遺伝子ホモログ領域を認めた.以上から本菌病原性の変異には挿入配列が関与すると考えた. 3.イネ白葉枯病菌の分泌蛋白質 植物病原細菌の病原性因子・抵抗性誘導因子のいくつかはhrp遺伝子産物により構成されるtype III分泌装置から菌体外に分泌されると報告されている。イネ白葉枯病菌の分泌蛋白質同定を目的とし、hrp誘導培地XOM2により精査した。その結果、hrp制御遺伝子:hrpXoに依存して分泌される種々蛋白質を検出した。これらにはtype III分泌機構より分泌されるものだけでなく、type II分泌機構により分泌されるhrpXoレギュロンも含まれた。アミノ酸配列の決定により、HrpE、HrpF、Hpa1およびシステインプロテアーゼ等を同定した。 4.イネ白葉枯病菌新規病原性関連遺伝子の探索 トランスポゾン導入法によりイネ白葉枯病菌新規病原性関連遺伝子の探索を行い、フォスフォグルコースイソメラーゼがイネ葉内での本菌の増殖と病原性に必須の酵素であることを明らかにした。
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