研究課題/領域番号 |
13460028
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
土田 耕三 国立感染症研究所, 放射能管理室, 主任研究官 (40231435)
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研究分担者 |
藤井 博 九州大学, 農学部・遺伝資源家蚕遺伝子分野研究センター, 教授 (10038268)
森林 敦子 国立感染症研究所, 昆虫医学部, 主任研究官 (20072944)
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キーワード | カロチノイド結合タンパク / StAR / カイコ / リポホリン / 脂質輸送 |
研究概要 |
カイコのカロチノイド運搬に異常のある突然変異体を用いてカロチノイドの消化吸収メカニズム、中腸細胞を通り抜け、体液のリポホリンからカロチノイドを必要としている組織や、貯蔵する組織まで届けられるメカニズムを調べた。 カロチノイドの輸送にする突然変異体のうち、カロチノイドの中腸透過性を支配するYやI遺伝子の存在が知られている。黄色い繭を作る系統の絹糸腺からカロチノイド結合タンパクを精製した。このタンパクはルテンに親和性が高くβカロチンも結合する33KDaのタンパクであり、カロチノイド結合タンパク(CBP)と名づけた。CBPは絹糸腺のみならず、中腸や生殖腺にも存在し、これらの組織が黄色に染まっていることから、カロチノイドに必須のタンパクであることが推察できた。また遺伝系統的に調べてみるとY遺伝子をもつ系統はCBPを持ちその劣性系統、+^Y遺伝子を持つ系統にはなかった。CBPcDNAのシークエンスから、CBPはヒトなどのステロイドホルモン合成器官で発現しているSteroidogenic Acute Regulatory Protein(StAR)と類似するアミノ酸配列をその内部に持っていた。 YやI遺伝子は、カロチノイドの中腸細胞内の移行に関与することは明らかであるが、カロチノイド以外の疎水性物質、ジアシルグリセロールやステロールなどの中腸透過性も支配している可能性については不明であったので、突然変異体の幼虫を用いて、脂質の動きを調べた。その結果、YやI遺伝子は、カロチノイドのみの透過性を支配し、中腸で物質の特異輸送が行われていることを示していた。Y遺伝子の産物であると考えられるCBPは、カロチノイドの細胞内移行だけにかかわるタンパクであり、物質の特異輸送に重要な働きをしているものと思われた。
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