研究課題/領域番号 |
13460032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小崎 隆 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (00144345)
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研究分担者 |
長縄 貴彦 島根大学, 生物資源学部, 助教授 (80183531)
矢内 純太 地球環境学堂, 助手 (00273491)
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20244577)
谷 昌幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (00271750)
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キーワード | カザフスタン北部 / 穀作圃場 / ジオスタティスティクス / 潜在炭素無機化量 |
研究概要 |
異なる生産生態環境を有するユーラシア・ステップ各地域における土壌有機物動態を明らかにするために、採取試料のインキュベーション・データに基づいて土壌呼吸速度を推定し、現地における実測値と併せて比較・検討した。その結果、実測値と予測値がよく一致する地域と、これらの差が非常に大きい地域に二分された。後者が、湿潤で比較的一次生産量の大きな自然草地であったことから、土壌呼吸推定において毎年の脱落根の寄与を考慮する必要性が示唆された。おそらくステップ土壌における有機物動態は以下の3パターンに大別される。(1)有機物分解過程において新鮮有機物の供給/分解が主要な過程である生態系(湿潤な自然草地)、(2)土壌中の可分解性有機物プールが土壌有機物分解における主要なステージとなる生態系(耕地や乾燥した自然草地)、(3)乾燥あるいは低温のため一次生産量・土壌有機物分解がともに抑制される生態系(高緯度あるいは乾燥に偏った地域の耕地)。 これらのうち、おそらく前述のパターン(2)に該当すると思われる北部カザフスタン畑作地における土壌有機物動態について、特にその空間依存性に留意して解析を行った。調査地は、緩やかな傾斜を持った、5×14kmの畑作耕地である。その結果、土壌の全炭素量は土壌水分量、標高(地形)に加え潜在炭素無機化量とも有意な正の相関を示した。また、植物体の全炭素量は土壌水分量と有意な正の相関を示した。従って、土壌及び植物に含まれる炭素はいずれも地形-水分との連環を示した。これらの情報をもとに、2001〜02年度耕作期に、土壌呼吸速度の実測とバイオマス生産量の調査を行い、土壌有機物収支を推定した。その結果、当該圃場では、穀物生産量や土壌有機物収支の高低に加えて、異なる気象条件下におけるこれらの安定性の変異が大きいことが明らかになった。今後これらの農地を適切に管理するにあたって、地形条件に基づくこれらの情報を積極的に利用してゆく必要がある。
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