研究課題/領域番号 |
13460041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 善晴 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70203263)
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研究分担者 |
井沢 真吾 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273517)
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キーワード | Yap1 / Saccharomyces cerevisiae / チオレドキシン / ジスルフィド結合 / グルタチオン / 酸化的ストレス / 転写因子 / グリオキサラーゼI |
研究概要 |
酵母転写因子Yap1は酸化的ストレスを負荷されると核に局在し、標的遺伝子の転写を活性化する。Yap1の核外輸送シグナル(NES)はC末端付近に存在し、そこはcysteine-rich domain(CRD)と呼ばれるCys残基に富む領域とオーバラップしている。従って、CRDを欠失させるとYap1は構成的に核に局在し、標的遺伝子の発現を活性化するようになる。このことから、Yap1の活性化は、その核局在化が重要なステップであると考えられている。 酸化的ストレスを負荷した際のYap1のredox状態を解析した結果、CRD中のシステイン残基間でジスルフィド結合が形成されることを明らかにした。すなわち、CRDにはCys598、Cys620、Cys629という3つのシステイン残基が存在するが、過酸化水素処理によりCys598とCys620間で優先的にジスルフィド結合が形成された。一方、ジアミドによる酸化的ストレスの場合は、これら3つのシステイン残基間でランダムにジスルフィド結合が形成された。また、これらのジスルフィド結合は、グルタチオンの酸化・還元状態とは独立して生じており、Yap1が直接酸化的ストレスのセンサーとして機能していると考えられた。さらに、Yap1のCRD中のジスルフィド結合はチオレドキシンにより還元されることを明らかにした。 一方、グリオキサラーゼI欠損株ではYap1が構成的に核に局在化して活性化されていることを明らかにした。その活性化は嫌気条件下でも観察されたことから、CRD中のシステイン残基間のジスルフィド結合を介した活性化とは異なる機構に依るものと考えられた。
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