研究概要 |
本研究は生物触媒機能のエネルギー利用分野への初めての応用をめざすもので、生体触媒ではたらく電気エネルギー変換システム、すなわちスーパーバイオ電池を作り出そうとするものである。最終年度として,これまでの研究を総括したうえで,以下のような研究に取り組み記載のような実績をあげることができた。 1.酸素から水生成が起こる側の電極について 従来ほとんど考慮されて来なかったバイオカソード反応を取り上げて、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)を用いると、シアノ金属錯体のようなメディエータ存在下、酸素の水への4電子還元を生理条件下電気化学的に実現できることを示して来た。BODの電極触媒特性をより詳細に検討する為に,異なる起源のビリルピンオキシダーゼを用いた実験をおこなった。その結果に基づいて酵素の触媒特性と電極触媒能との間に密接な関係があることを明らかにした. 高配向性グラファイト,PFCなどいくつかの炭素材を電極として,BODの直接電子移動の可能性を検討した結果,特定の炭素材料を電極に用いた場合に、メディエータ無しで顕著な酸素還元電流が流れることを発見した。さらに、BOD固定法の工夫によって、予期しない大きな電流密度が実現できることを見出し,その挙動を説明するには新しい直接電子移動反応モデルが有用であることを示した。 2.酢酸菌を触媒とする糖・アルコール燃料電極反応として,ビタミンK3をメディエータにした場合の検討を行った結果。電位的には有望であるが,電流密度を上げることが困難であることがわかった。エタノール燃料バイオアノードの研究の展開として、アルコールを犠牲試薬とする水素の電解製造の可能性について考察を進めた。硫酸還元菌触媒での水素の電解生成と酢酸菌触媒エタノール電解を組み合わせ、非常に少ない電力で純粋な水素の電解製準が可能になることがわかった。 3.モバイル型機器用電源としてのプロトタイプ電池の試作を試みた。
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