研究概要 |
目的:申請者らが独自の発想で発見した細菌由来の新規カルボキシルプロテアーゼ(PSCP, XSCP, kumamolisin, J-4)と、これらと一次構造上類似し、且つ、致死性遺伝病に関係するCLN2を対象に、これら酵素の構造と機能を明らかにする。また、これら酵素群の分子進化も考察する。 平成13度の研究実績: 1)保存されたSer残基の機能解析(小田、尾山) 上述の5種の酵素を対象に、遺伝子工学的手法により、Ser残基の触媒磯構への関与を明らかにした。 2)PSCPの立体構造と機能(Wlodawer、Dunn、小田) PSCPの立体構造より示されたSer287、Glu80、Asp84のcatalytic triadを遺伝子工学的手法で確認した。また、インヒビターとの相互作用解析によっても確認した。 3)インヒビターの合成と立体構造解析への応用(小田、平賀) kumamolisinに特異的に作用するインヒビター数種を設計し、合成した。それらをkumamolisinの構造解析(マックスプランク研究所:Bode教授)に応用した。 平成14度の研究実績: 1)PSCPのプレプロ体の立体構造解析(小田、尾山、Wlodawer) PSCPの立体構造解析により示された新規catalytic triadの内、Ser残基の改変体、S287Aは、自己触媒的に活性化されることなく、プレプロ体として精製された。また、プロテアーゼ活性も検出されず、Ser287が触媒残基のひとつであることがタンパク工学的にも明らかとなった。現在、結晶構造解析用のサンプルを調製している。 2)kumamolisinの触媒残基の解析(小田、尾山、Bode) Kumamolisinに特有の触媒残基であるGlu32とTrp129のAla改変体を構築し、それらの速度論的解析を行った。各々のk_<cat>・K_m値は、野生株の約6%、4%となり、触媒機構に関与することが確証された。 3)CLN2のサブサイト構造と立体構造の解析(小田、平賀、Dunn、Wlodawer) 新規合成基質による速度論的解析を行い、CLN2のサブサイトは、細菌由来の酵素に比べて短く、S3〜S3'で構成されていることが明らかとなった。現在、カイコ蛹で発現、精製したヒトCLN2による結晶構造解析を進めている。
|