当該研究期間において、以下のような成果を得た。 (1)クラゲ及びヒドラからスフィンゴ糖脂質に特異的に作用し糖鎖を切り出す酵素(エンドグリコセラミダーゼ)を見い出し、その遺伝子のクローニングと大量発現に成功した。また、ヒドラの本酵素は消化酵素の一種として餌由来の糖脂質を分解していることを証明した。 (2)クラゲ由来のエンドグリコセラミダーゼの糖転移反応と縮合反応を利用して新規アルキル糖脂質、蛍光糖脂質等を作製する方法を開発した。 (3)蛍光セラミドを用いて海洋無脊椎動物の中性セラミダーゼ活性を検索し、ヒトデやホヤに強い活性があることを見いだした。 (4)養鰻池から単離した水生細菌Pseudomonas sp. TK4の溶血性スフィンゴミエリナーゼの遺伝子をクローニングし、溶血に必須なドメインを同定した。また、この酵素がウナギの赤点病に関係していることを見いだした。 (5)イトマキヒトデからa-GalNAcに特異的なC型レクチンをクローニングした。このレクチンは、Tn抗原に対して非常に強い結合活性を持つことを示した。 (6)海洋細菌Shewanella alga G8からスフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ遺伝子を初めてクローニングした。 (7)ガングリオシドを分解するPaenibacillus sp.を単離し、本菌を用いたグルコセレブロシドの調製法を確立した。
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