研究概要 |
ブラシノステロイドの生合成とシグナル伝達において外部環境が果たす役割追及するために,本年度はイネを用い、ブラシノステロイドの生合成が光および光質によってどのように調節されるかを検討した。 1.イネにおける光質によるBR生合成の調節 イネを暗所で1週間育てた後、白色光、青色光、赤色光および近赤外光を24時間照射した後、茎葉部と根に分離し、内生BRを抽出精製したのち、その含量を重水素化したBRを内部標準とするGC-SIMにより定量した。その結果白色光および青色光が内生のブラシノステロイド含量を増加させることを明らかにした。とくにティファステロールおよびカスタステロンの含量が高まることより,C-6の酸化が活性化することが明らかになった。赤色光や近赤外光ではその効果がないことから,光成分のなかでも青色光にのみそのような作用があることが明らかになった。 2.光により調節されるC-6酸化酵素遺伝子のクローニングとその光による発現制御 トマトのC-6酸化酵素遺伝子(Dwarf)の構造はすでに明らかにされているので、その相同性とEST情報を利用してイネのC-6酸化酵素をクローニングし,OsDwarfと命名した。ついでRTPCRによりこの遺伝子の発現が青色光で増加するが、赤色光および近赤外光によっては影響されないことを明らかにした。 以上のことから,青色光はOsDwarf遺伝子の発現させることにより活性ブラシノステロイドのカスタステロンの合成を促進することが明らかになった。
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