1.温度がブラシノステロイドの合成に与える影響 明所下、28℃で生育させたイネ苗を、21、28および35℃で2日間生育させた後、内生ブラシノステロイドの含量をGC-MSにより測定した。その結果、28℃を基準にすると、21℃の低温はブラシノステロイドの含量を変化させなかった。一方、35℃の高温は生合成下流のブラシノステロイド含量を増加させることが認められた。すなわち、6-デオキソティファステロールを1.6倍、6-デオキソカスタステロンを3.9倍、カスタステロンを2.0倍に増加させた。特に6-デオキソカスタステロンの増加が著しいことから、高温は2α水酸化を促進することが明らかになった。また、21℃程度の低温はブラシノステロイドの生合成に影響を与えないことが示された。 2.生合成遺伝子のクローニング すでに、シロイヌナズナおよびイネのブラシノステロイド生合成遺伝子については多くが明らかになっているので、エンドウから、ブラシノステロイド生合成遺伝子をクローニングすることにした。その結果、RT-PCRによりシロイヌナズナのAtDWARF、CPD、DWF4、BAS1に相同の遺伝子をクローニングできた。この結果をもとに完全長遺伝子を得る目的でcDNAライブラリーをスクリーニングしたが、いずれも成功しなかった。しかしながら、これによりもう一種類の新たなCPD相同遺伝子をクローニングすることができた。
|