研究課題/領域番号 |
13460052
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
葛西 隆則 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80001444)
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研究分担者 |
渡辺 純 北海道大学, 大学院・農学研究科, 日本学術振興会特別研究員
園山 慶 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90241364)
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キーワード | アレルギー / Brown Norway ラット / 喘息 / 小麦粉 / ラフィノース / 経口免疫寛容 / プレビオティクス |
研究概要 |
小麦粉中のアレルゲンを網羅的に酵素分解することにより調製した低アレルゲン化小麦粉ならびに難消化性オリゴ糖ラフィノースのアレルギー改善機構を明らかにすることを目的として、以下の検討を行った。 1.Brown Norway(BN)ラットを用いて小麦特異的アレルギー喘息モデルを確立した。すなわち、グルテンで皮下免疫してから2週間後に、グルテンのキモトリプシン分解物のエアロゾルにより経気道的に惹起し、翌日に気管支肺胞洗浄液(BALF)を得てその中の好酸球浸潤をアレルギー性気道炎症の指標とした。 2.1.のモデルにおいて、グルテン免疫後に低アレルゲン化小麦粉あるいは無処理小麦粉を添加した飼料を摂取すると、気道炎症が軽減された。また、血清抗体価(グルテン特異的IgE、IgG1、及びIgG2a)及び抗原刺激に対する脾臓単核球の増殖応答ならびにサイトカイン遺伝子発現(IL-4及びIFN-_γ)は低アレルゲン化小麦粉あるいは無処理小麦粉によって抑制された。 3.1.のモデルにおいて、卵白アルブミン(OVA)を抗原とした場合、食餌ラフィノースは気道炎症を改善し、更にOVAを経口投与するとより改善された。 4.ラフィノースによるOVA特異的気道炎症の改善効果は、盲腸を切除してネオマイシンを毎日経口投与した動物においても発現した。 5.BNラットにOVAを毎日経口投与すると6週目くらいからOVA特異的血清抗体価の上昇が見られ、また脾臓単核球は抗原刺激に対して増殖応答を示すが、ラフィノース添加食を摂取させたラットでは血清抗体価と脾臓単核球の増殖応答が抑制された。一方、Caco-2細胞の腸管透過モデルにおいて、ラフィノースは経上皮電気抵抗を上昇させ、OVAの透過を抑制した。 以上の結果より、低アレルゲン化小麦粉が経口免疫寛容を誘導することが証明され、そのことが気道炎症の予防に寄与することが示唆された。また、ラフィノースのアレルギー性気道炎症予防効果は、経口免疫寛容が関与すること、及びプレビオティクス効果を介する可能性は低いことが示唆された。更に、ラフィノースは抗原の腸管透過を抑制して経口感作を阻止する可能性が示唆された。
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