研究課題/領域番号 |
13460053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20157639)
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研究分担者 |
山下 まり 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50192430)
及川 眞一 日本医科大学, 医学部, 教授
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キーワード | 粥状動脈硬化 / 高脂血症 / 生体膜リン脂質 / 脂質過酸化 / 過酸化リン脂質 / 酸化変性リポタンパク / マクロファージ / 酸化LDL |
研究概要 |
粥状動脈硬化は我が国やとくに欧米諸国において冠動脈疾患や脳血管障害の原因疾患のひとつである。その予防にあたっては食品成分の生体機能性の解明を含めて発症機構の解明が世界的に行われている。本研究において我々は世界ではじめて粥状動脈硬化の原因である高脂血症者において血漿のリポタンパクを構成しているホスファチジルコリン(PC)の酸化第一次産物(PCOOH、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシド)が健常者のそれより有意に高値であることを発見した。これはいわゆるごく軽微に酸化修飾を受けたリポタンパク粒子が高脂血症者に多いことを示しリポタンパク粒子表面に局在する膜リン脂質の過酸化が硬化巣形成に重要であることを物語った。ヒト単球由来の培養細胞株THP-1を使用したところ、PCOOHを多含する酸化低密度リポタンパク(oxLDL)をTHP-1由来マクロファージが効果的に貧食し、oxLDLを貧食した泡沫化マクロファージにはPCOOHが著しく蓄積することがわかった。これが動脈硬化の初期病巣形成であることを明らかにした。一方、この泡沫化反応によるPC00H蓄積は高密度リポタンパクの存在により効果的に抑制された。そこでPCOOHのoxLDLからHDLへの取り込みとHDLによるPC00H還元作用を細胞系実験および生成物の超高感度LC-MS分析で明らかにした。なお、蛍光化したPC00Hは試験的に調製可能であったがoxLDLの取り込みの画像化は検出装置の限界から定量的評価には至らなかった。本研究により世界ではじめてHDLがPC00Hを還元することで抗酸化的機能を発揮していることを確認した。
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