ダイズには5種類のAP(soyAP1〜soyAP5)が存在する。このうち、soyAP1とsoyAP1は57%の相関性を示す。ノーザン解析からsoyAP1は乾燥種子に特異的に発現するのに対し、soyAP2は乾燥種子以外の根、茎、葉、花などに発現する。soyAP1は乾燥種子以外でも発芽の早い時期には発現しているが、発芽が進むにつれて、発現は停止した。一方、soyAP2は室温で48時間吸水させるとその発現は上昇した。このように、両者の発現パターンは大きく異なっていた。soyAP1のように乾燥種子特異的APは今までに報告がないことから、私達はsoyAP1のダイズ種子における機能について解析を行った。まず、発現の部位を知るためにin situハイブリダイゼーションを行った。その結果、soyAP1は未成熟の篩管および導管に強く発現していることが明らかになった。ところがその発現は成熟に伴って著しく低下した。以上のことからsoyAP1は、未成熟の篩管において成熟化する過程、おそらくプログナム細胞死のような過程で作用している可能性が示唆されてた。 コムギ種子から4種のシスタチン(WC1〜4)をクローン化した。すべて登熟期の初期に発現が高く、その後減少した。さらに、発芽1日の種子においても発現が認められた。WC1はいつの時期でもWC2やWC4にくらべ高発現していた。WC1とWC4はアリューロン層ならびに胚に局在していたが、WC1は胚乳にも局在していた。このようにmRNAの発現量や、局在部位の違いから、これらのWCの種子生理学的な役割は異なっていることが示された。
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