研究課題/領域番号 |
13460057
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 正明 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026572)
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研究分担者 |
福岡 伸一 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20183923)
乾 明夫 神戸大学, 医学部, 助教授 (80168418)
竹中 康之 神戸松蔭女子学院短期大学, 生活科学科, 講師 (20273518)
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キーワード | ナタネタンパク質 / napin / 血圧降下 / 動脈弛緩 / コレシストキニン / lorglumide / 摂食抑制 / エンテロスタチン |
研究概要 |
ナタネタンパク質のsubtilisin消化物から、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性に基づいて我々が単離したArg-Ile-Tyr(RIY)はnapinに由来するペプチドである。ACEに対するRIYのIC_50は28μMであり、高血圧ラット(SHR)に対して、5.8mg/kgの経口投与2-4時間後に有意な血圧降下作用を示した。一般的に、食品タンパク質由来のACE阻害ペプチドは25週齢以降のSHRに対しては血圧降下作用を示さないが、RIYは30週齢のSHRに対しても有効であった。その原因はRIYが、ACE阻害活性に加えて、ラット腸間膜動脈に対する弛緩作用を有するためと考えられる。RIYの動脈弛緩および血圧降下作用はコレシストキニンCCK_A-レセプターアンタゴニストであるlorglumideにより阻害された。しかしながらRIYはCCK_A-レセプターに対して親和性を示さなかったことから、CCKの放出を促進することによって動脈弛緩および血圧降下作用を示すと考えられる。一方、RIYは30-50mg/kgの経口投与により、マウスの摂食を抑制する作用を示したが、この作用もまたlorglumideによって阻害されることがわかった。以上から、RIYの摂食抑制作用もまた、CCKの放出を介していると推定される。RIYは経口投与の際に摂食抑制作用を示す食品タンパク質由来の低分子ペプチドとしては最初の物質である。 ヒトおよびマウス型エンテロスタチンAla-Pro-Gly-Pro-Arg(APGPR)は高脂肪食投与ラットに対する脳室内投与の際に摂食抑制作用を示し、その作用はlorglumideにより阻害されることからCCKの放出を介するとされている。APGPRが100mg/kgの経口投与の際に、血清コレステロール低下作用、抗鎮痛作用および学習促進作用を示すことを新たに見出し、それらのいずれもがlorglumideによってブロックされることからCCKの放出を介していると推定した。APGPRが経口投与の際に摂食抑制作用を示し得るかどうかという点については課題が残った。
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