研究概要 |
中村は,釧路湿原,標津川自然再生事業について整理し,復元計画の基本的考え方について既存研究のレビューと再構築を行った。また,湿原再生や再蛇行化などの現地実験を行政の協力を得て実施している。金子は,北海道の野生生物生息地の時系列変化について要約し,落葉広葉樹林や湿原など低地の冷温帯植生では,農地,都市,人工林への改変が,質,量ともに著しい.針葉樹林や針広混交林の広がる山地の亜寒帯植生では,面的な変化は大きくないが,造林や植林,農地開発などによる質的変化が大きい等,GIS解析により明らかにした。柿澤は,先進諸国のエコシステムマネジメントの動向について,さらなる資料収集・分析を行い,1980年代以降主要なOECD諸国は,根本的な自然資源管理政策の見直しを進めており,その背景には自然資源に関わる科学的知識の発展と,経済社会の転換があり,代表的なものがアメリカ合衆国におけるエコシステムマネジメントの考え方の登場とその実行であることを明らかにした。尾張は,財団法人前田一歩園財団が所有する森林(約3,500ha)を対象に,林小班界,小班別の森林蓄積,空中写真判読に基づく林相区分,空中写真判読によって抽出した台風被害地,(5)河川および林道・作業道の位置,(6)エゾシカによるニレ類の被害材積などのデータベースとメタデータの作成を行った。池上は,北海道北部において計画されている一般国道40号音威子府バイパスを題材とした保全生態学的解析を実施した。菊池は,樹木年代学的手法を用いて,時系列変化を解析し,景観構造と機能の変化を明らかにした。山本は,土地の適切な配分と利用をめぐるコンフリクトを,農業生産と環境という視点で捉え,EU農業環境政策について資料収集・解析を行った。
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