研究概要 |
1.山口県徳山市のアカマツ林で2002年に10本のアカマツが枯れ,そのサンプルから翌年にマツノマダラカミキリ雌成虫が33頭と雄成虫が39頭脱出した。また,2003年に8本のアカマツが枯れた。成虫と枯死木から線虫を分離し,個体別にDNAを抽出した。また,各サンプルから35アイソレイトを確立した。 2.上述のアカマツ林において2000年から2002年までの間に線虫が枯死木とマツノマダラカミキリ成虫から採集された。開発された4マイクロサテライト遺伝子座について平均すると,座位あたりの対立遺伝子数は4.85であり,その前の3年間の平均値6.0より低下していた。 3.2002年に脱出したマツノマダラカミキリ成虫から12アイソレイトが,枯れたアカマツから14アイソレイトが確立された。アイソレイト当たり28本の2年生アカマツに5,000頭ずつ線虫を7月下旬に接種した。2004年2月には,前者の平均枯死率は15.5%(SD=6.7%),後者では21.4%(SD=9.0%)であった。 4.5月にアカマツ10本に弱毒性アイソレイトOKD-1を4万頭ずつ接種して抵抗性を誘導した。対照として3本に水を接種した。7月に2年枝を5または10cmに切って線虫の通過阻害を調べたが,処理区間で差はなかった。その後,強毒性アイソレイトT-4を接種したが,1本も枯れなかった。 5.散水間隔を変えてアカマツ苗木の水ストレスのレベルを変えた。それらの苗木に強毒性アイソレイトT-4,弱毒性のOKD-1,またはその混合懸濁液を接種した。その結果、水ストレス下の苗木の死亡率が高く,T-4を接種された苗木の死亡率が高かった。また,それらの苗木の主軸を用いて,線虫通過阻害を9月中旬に調べたところ,水ストレスによって通過阻害に差はなかった。
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