研究概要 |
ゲノム中に散在しているマイクロサテライトDNA(SSR ; simple sequence repeats)領域を効率的に単離する目的で、TAC(triplex affinity capture)法を利用したSSRマーカーの開発法の確立を行った。ピリミジン-プリン-ピリミジン型三重らせんを形成する"CT"の繰り返し([CT]n)をもつSSR領域を対象として、単離条件についてモデルDNAを用いて検討した。rbcL遺伝子に、[CT]_<10>、[CT]_<15>、[CT]_<20>、[CT]_<25>の各DNA配列を挿入したDNA分子を作成し、これらの混合DNA溶液をモデルDNA溶液として使用した。このモデルDNAに、[CT]_<7>、[CT]_<12>、[CT]_<17>、[CT]_<22>の4種類のオリゴヌクレオチドを個別に加え、三重らせんを形成させ、固相単離法を用いてこれを回収した。三重らせん形成時のpH、温度条件等について詳細に検討した結果、,pH6.8〜7.0の条件下で、繰り返し数の大きい(20回以上)SSR領域が選択的に単離できた。また、スギ、クロマツ、アカシアの3樹種のゲノムDNAの制限酵素による前処理条件についても検討を行った結果、Csp6I(GTAC)が適していることを明らかにした。さらに、単離されたSSR分子のクローニングとこれを保有するコロニーの効率的な判定法について検討し、PIMA(PCR-based isolation of microsate11ite arrays)法の改良を行った。 以上の基礎実験をもとに、実際にアカシアゲノムを対象にスモールスケールでのSSR領域の単離を試みた結果、6個のSSRマーカーが開発され、今後のラージスケールでのSSRマーカー開発法が確立された。
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