本研究は2年計画で実施し、主として次の成果を得ることができた。 (1)ゲノム中に散在するマイクロサテライトDNA(SSR;simple sequence repeats)領域を効率的に単離するため、TAC(triplex affinlty capture)法によるSSRマーカー開発法を確立した。 (2)モデルDNA(rbcL遺伝子に、[CT]_10、[CT]_15、[CT]_20、[CT]_25を挿入したDNA分子)を用いて、三重らせんDNA形成時のpH、温度条件等について検討した結果、pH64〜70の条件下で、繰り返し数の大きい(20回以上)SSR領域が選択的に単離できた。 (3)単離SSR分子のクローニングとこれを保有するコロニーの効率的なスクリーニングのために、PIMA(PCR-based isolation of microsatellite arrays)法の改良を行った。 (4)TAC法を用いて、スギ、クロマツ、ヒノキ、アカシアの4樹種のゲノムDNAを対象として、SSR領域のスクリーニングを実施し、スギで約300個のSSRの解析を行った。その塩基配列情報を基に、SCAR(sequence characterized amplified region)化し、PCRべースのSSRマーカーを開発した。 (5)スギ(早良1号の単相胚乳家系)、ヒノキ(姶良32号×薩摩8号の人工交配家系)、クロマツ(志摩64号の単相胚乳家系)、カラマツ(グイマツ)(カラマツ×グイマツの種間雑種個体の単相胚乳家系)の4樹種において、連鎖地図作成のための研究材料を作成した。
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