研究課題/領域番号 |
13460080
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木島 明博 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50161451)
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研究分担者 |
荒井 永平 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10134032)
尾定 誠 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30177208)
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キーワード | マナマコ / 色彩変異型 / アイソザイム / DNA多型 / 色彩の定量化 / 交配実験 / 染色体 / 遺伝支配 |
研究概要 |
本研究は、同じ種の色彩多型として考えられているマナマコの3型(青ナマコ、赤ナマコ、黒ナマコ)について、遺伝学的差異を多角的に捉えて3型の生物学的位置を明確にし、これまで研究が極めて少ないマナマコの生物学的研究の基盤を確立することを目的とする。 本年度はマナマコの色彩型変異の遺伝支配を把握するための標識遺伝子の開発とアイソザイム遺伝子による色彩型3型の地理的分化および3型の色彩の定性と定量化を行った。その結果、(1)tDNAの抽出には縦走筋を用いて、フェノールークロロフォルム処理が最適であることが分かった。(2)マグネット法を利用したマイクロサテライトDNAの抽出を試みたが、プライマーの設計までには至らず、次年度の課題となった。(3)棘皮動物のミトコンドリアDNAに関するデータベースおよび公表論文により、マナマコのmtDNAのD-loop領域のプライマーを検索したが認められなかった。(4)棘皮動物のDNAデータベースおよび公表論文により上記以外のDNA多型を検索したが、プライマーの設計ができる情報に乏しかった。(4)そこで、独自のプライマー設計を次年度に行うこととし、本年度には色彩型3型の色彩の定量化をこれまでに用いられていないデジタルカメラと画像編集ソフトを組み合わせた手法を開発して行った。この結果、アカ型はクロ型やアオ型とは不連続に異なることを明らかにした。(5)そこで、それらの色素について顕微鏡観察をしたところ、アカ型が他の2型とはことなる色素を保有していることを明らかにした。(6)さらに、3型のアイソザイム分析を北海道、青森、宮城、大分の各県から採集した個体について行ったところ、アカ型はアカ型同士で地域を越えて遺伝的に近縁な関係にあることを示した。また、アオ型とクロ型はそれぞれ一つのクラスターに分かれず、地域間で近縁となる傾向を示した。また、これらの結果により、アイソザイムが多角的遺伝分析に必要な標識遺伝子の一つにあることを明らかにした。(7)3型の色彩に関する遺伝支配を明らかにするために女川周辺から採集したマナマコについて人為繁殖条件を明らかにし、交配実験および飼育実験を行った。マナマコに適したそれらの条件を明らかにする。これらは現在飼育中である。尚、(8)染色体標本作製には発生初期に行うことが効果的であることが分かった。
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