研究課題/領域番号 |
13460080
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木島 明博 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50161451)
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研究分担者 |
尾定 誠 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30177208)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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キーワード | マナマコ / 色彩変異 / アイソザイム / マイクロサテライト / 生殖隔離 / 集団構造 / Lab表色系 / Stichopus japonicus |
研究概要 |
マナマコには市場価値の異なる体色変異「アカ型・アオ型・クロ型」が知られ、それらの生息環境の違いや繁殖期の違いなどの報告はみられるが、それらの色彩に関する差異の程度、色彩変異型間の生物学的差異に関する定量的・定性的研究はみることができない。本研究はマナマコの色彩の定量的・定性的評価法を考案して客観的に色彩変異の存在を捉え、遺伝標識を開発して色彩変異型の遺伝的差異を明確にする事を目的とした。その結果、(1)デジタルカメラで撮影したマナマコの画像をL*a*b*表色系で調べたところ、アカ型がアオ型及びクロ型とは明確に(不連続に)区分できることが明らかになった。(2)そこでマナマコの色彩を定性的に比較するために、表皮の色素の構成の違いを調べたところ、アカ型は他型にはない鮮赤色の色素を持つとともに他型にはある緑色の色素を持たないことで明確に区分できることが明らかになった。(3)次にアイソザイム分析を行ったところ、同じ湾の中でもアカ型は他型とは異なる遺伝的組成を持つこと、宮城と大分のアカ型が他型との間よりも遺伝的に極めて近縁であることが判明した。(4)そこで幼生でも分析可能なマイクロサテライトマーカーを開発し、(3)と同様の分析をした結果、アカ型が他型とは明確に異なる遺伝的組成を保有し、同湾でも生殖的に隔離された別種になる可能性があることを明らかにした。 本論文は、これまで研究が極めて少なかったマナマコに焦点を当て、独自の発想によって色彩の評価法を考案し、初めてマナマコの色彩変異を定量的・定性的に明らかにした。また、これまで困難とされていたマナマコのアイソザイム分析を可能にし、極めて高い変異性があることを示したことや、やはり報告が皆無のマナマコのマイクロサテライトマーカーを20種類開発したこと、そしてそれらのマーカーを活用して、これまで1種とされていたマナマコについて、アカ型がアオ型とクロ型とは生殖隔離された異なる種(亜種)となるべきである証拠を提示できた。
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