研究分担者 |
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
天野 雅男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50270905)
新井 崇臣 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70323631)
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 教授 (80017087)
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研究概要 |
本研究では、海棲哺乳類(イルカ、アザラシなど)の生活を理解する上で重要な研究項目である分布、回遊、成長、繁殖、食性、個体群判別などについて優れた成果をあげてきた。同時に、有機塩素系化合物(PCBs, DDTs, HCHs, etc)、有機スズ化合物(TBT, DBT, MBT, etc)、重金属類(Hg, Cd, Pb, etc)などの有害化学物質の生物濃縮特性を明らかにするとともに、その生物影響について国際的に注目される成果をあげてきた。その成果は、国内外の学会で発表するとともに、学術雑誌(英文論文:23編)、著書(英文:2編、和文:3編)、総説(和文:3編)などに公表してきた。 なかでも、イシイルカの有機塩素系化合物や重金属類の蓄積特性、カスピカイアザラシやバイカルアザラシのジステンパーウイルスやインフルエンザウイルスの感染症の研究を実施し、すぐれた成果をあげてきた。特に、1979年にバンコックを中心に世界的に流行したインフルエンザウイルスのA型(H3N2)やB型がヒト以外の動物であるアザラシに発見され、長期間にわたってほとんど変異せずに保持されてきたことを明らかにした研究は、国際的に高い評価を得ている。また、これらの海棲哺乳類と同じ生態系に生活している主要な海洋生物の生活史や環境に関する研究成果と比較することによって、海棲哺乳類との生物相互関係に関する新しい知見を得ることが出来た。特に、カスピ海に生息するカスピカイアザラシとその餌生物、さらにはチョウザメの回遊履歴とその環境に関する研究は国際的に注目されている。 今後は、本年度の研究成果をもとにしてさらなる研究の展開を目指す。
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