研究課題/領域番号 |
13460091
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平田 孝 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40273495)
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研究分担者 |
坂口 守彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (00027187)
新井 博文 山口大学, 医学部, 助手 (70295848)
福永 健治 関西医科大学, 医学部, 講師 (30278634)
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キーワード | エイコサペンタエン酸 / 異性体 / 脂肪酸 / 酸化 / 海洋生物 |
研究概要 |
EPAのトランス異性体に着目し、その新規な調製法を開発、分離、精製を行い、酸化安定性などの化学的特性および各種生理学的特性などを明らかにすることが目的である。 今年度は、各種実験に十分な量のEPAのトランス異性体を調製する手法について検討した。まず、トランス異性体に変換する一般的手法である亜硝酸処理あるいは加熱処理を試みた。しかし、EPAエチルエステルの場合、亜硝酸処理ではトランス化の効率は極めて低く、大量調製は困難と思われた。そこで、トルエンスルフィン酸(TSA)による方法を試みた。約1時間の処理で50%のEPAエチルエステルがトランス型に変換することを確認した。しかし、TSAは変性しやすく、ナトリウム塩でしか入手できない。したがって、トランス脂肪酸の調製直前にTSAに変換するが、従来の手法ではTSAナトリウム水溶液に強酸を加え、生じた沈殿を洗浄後にエーテル抽出して精製していた。しかし、この方法は極めて収量が低く、トランス体の大量調整には不向きである。そこで、強酸性カチオン交換樹脂でナトリムを直接トラップしてTSAを調製する手法を新規に確立した。本法によれば、沈殿の洗浄も不要で、効率的にTSAを調製可能であった。また、トランス型異性体の生体内での酸化安定性を評価するため、血漿中の低密度リポタンパク質を調製してその酸化的脆弱性あるいは赤血球変形能を評価するが、そのための予備試験を行い、これらの評価法をほぼ確立することができた。さらに、血小板凝集阻害活性についても次年度以降検討予定であり、その評価法もほぼ確立できた。トランス異性体リン脂質の調製法についても検討したが、大量調製がやや困難であった。そこで、トランス異性体の抗アレルギー性について検討するため、肥満細胞の調製法、細胞刺激の手法について検討し、カルシウムイオノフォアによる細胞刺激条件を設定できた。
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