研究分担者 |
赤江 剛夫 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (10123423)
本名 俊正 鳥取大学, 農学部, 教授 (90093624)
山本 太平 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (00032102)
田熊 勝利 鳥取大学, 農学部, 教授 (40032297)
木原 康孝 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (30204960)
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研究概要 |
本研究は,乾燥地の塩集積とリーチングに伴う塩動態解析を明らかにして,灌漑農業に伴う土壌劣化の進行を防ぐための最適な土壌管理法を確立することを目的としている。そのために,土中水分と塩分,地温を正確にモニタリングし,塩の挙動を明らかにすることが重要である。研究の2年度となる平成14年度の研究成果は,(1)砂漠化機構解析風洞システムを用いて,風速1m/s温度35℃湿度20%の一定条件下で,初期飽和(NaCl水溶液で5000ppm)砂質土壌の蒸発実験を行い,グラベルマルチによる蒸発抑制効果を解析した。(2)水道水とNaCl濃度0.1mol/kgの2つの砂カラムからの土壌面蒸発実験を比較し,日蒸発量の実用的な推定法を提案した。(3)塩分動態モニタリングシステムを用いて、ハイグレンソルゴを生育させ、NaClとCaCl_2の濃度を1500ppmから4000ppmまで増加させ,異なるリーチング割合で3日間断灌漑の実験を行った。リーチング水量よりも肥料成分の流亡がソルガムの収量に影響した。(4)異なる灌漑スケジューリングでグレインソルガムを栽培し,植物生育期間中における土中塩分と水の動態を測定した。いずれの灌漑区も前日の蒸発散量分を毎日灌漑した。リーチング分を8日間に1回の割合で間断灌漑した場合、毎日灌漑区と比較して間断灌漑区では、表層から下層への除塩効果が高く,間断灌漑区では窒素の溶脱が比較的抑えられ、植物の肥料利用効率が高かった。(5)また,基礎的な実験として,異なる土性の縦断成層における蒸発実験によって,塩集積の不均一性を検討し,数値実験と比較検討した。(6)異なる種類の粘土を含む塩類土壌あるいはソーダ質土壌に対して,異なる濃度の溶液でリーチングした場合の透水性の低下を,団粒構造の安定性,粘土の分散性の面から検討した。(7)蒸発に伴う塩集積過程を解析するために,異なる土壌で土中水分と塩濃度とアルベドの関係,塩濃度と熱特性との関係について検討した。
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