研究概要 |
高水分材料のままでも材料水分中の溶存酸素量が十分存在していれば,コンポスト化細菌の増殖が可能になるとの仮説のもと,その実験的検証を行った。ここでは,水分量と溶存酸素量は比例関係にあることに着目し,コンポスト化細菌の増殖反応初期における,試料含水率の違いが増殖活性に及ぼす影響を調べた。熱量測定には,多点式双子型伝導熱量計を使用した。この熱量計は12点同時測定が可能で,測定試料容器,基準試料容器ともに12対ある構造になっており,双方の試料容器について共通する条件,例えば周囲温度の変動による影響など目的の熱量以外の熱変化はすべて相殺されるようになっている。熱検出体には,サーモモジュールが用いられており,約8.8×10^<-5>℃までの温度差検出が可能である。また,熱量計全体を一定温度にするため,断熱材で覆った。 増殖サーモグラムは,同じ含水率の試料でほとんど同一曲線を描き,高い再現性を示したため,同一水分であれば増殖曲線の試料間差違はないと判断された。反応開始後2〜3時間の,コンポスト化細菌増殖の対数期において計算された比増殖速度は,含水率75%w.b.以上の試料で高い値を示した。これは,高含水率の試料は,水分が多い分,溶存酸素が豊富なため増殖活性が高いと考えられる。実際に,含水率55%%w.b.の試料の溶存酸素量に比べて,含水率85%w.b.の試料は最大5倍ほどの容量を持っている。
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