研究課題/領域番号 |
13460111
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松岡 孝尚 高知大学, 農学部, 教授 (70036739)
|
研究分担者 |
石川 勝美 高知大学, 農学部, 教授 (20117419)
北野 雅治 高知大学, 農学部, 教授 (30153109)
河野 俊夫 高知大学, 農学部, 助教授 (60224812)
|
キーワード | 海洋深層水 / 冷熱利用 / 深層水培養液処理 / 高糖度トマト / 培養液制御 / 果実内成分情報 / 近赤外分光法 / 深層水の機能性 |
研究概要 |
本研究は、海洋深層水の多目的、多段階利用の一環として、農業プロセスへ利用するための基礎研究及び実用化研究を行ったものである。 本年度に得られた結果の概要は以下の通りである。 (1)トマトの4段摘心栽培における深層水培養液の処理方法として、慣行培養液と深層水培養液との交互給液により、各果房間の糖度差が減少し、トマト果実の品質、収量が向上することを明らかにした。また、高糖度トマト栽培に発生しやすい尻腐れ果の発生を抑制する技術として、培養液の溶存酸素濃度を高める方法が効果的であること、また、これにより、Ca、Mgの葉、果実への吸収量が増加することを明らかにした。 (2)近赤外分光法により、樹上にある緑熟トマト果実の内成分(デンプン含量、乾物率)をモニタリングするとともに、完熟時の糖度を予測し、深層水培養液の処理条件に反映させるシステムの基本要素技術を確立した。 (3)塩ストレス処理に深層水濃縮廃液を用いることによって、深層水由来のニガリの主成分であるMg、及び浸透圧調節物質であるKの濃度が有意に上昇した。 (4)海洋深層水を用いて水耕栽培した高糖度トマトの成分特性(ミネラル成分)及び表皮の硬さ(表皮の突き刺し強度)、密度などの物理的特性を明らかにした。 (5)深層水の平均的な構造状態をTSDC(熱刺激脱分極電流方式)で評価すると、深層水の分子運動は、通常の水に比べ相対的に拘束された状態(構造化している)であり、界面動電処理(緩和処理)によりさらに安定化した。また深層水培養液に対する緩和処理の結果、同一温度下で培養液粘度は0.004〜0.008mPa・sほど低下した。移植後の苗培養液のEC, pHの変動も小さくなり、根における物質吸収量は1.2倍増となった。
|