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2002 年度 実績報告書

成長ホルモン分泌促進を介するルーメンバイパス飼料の増乳効果

研究課題

研究課題/領域番号 13460116
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

左 久  帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (80003119)

研究分担者 小田 伸一  岩手大学, 農学部, 助教授 (60211827)
萩野 顕彦  東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80156249)
大谷 昌之  帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (80250538)
キーワード泌乳牛 / ルーメンバイパス / デンプン / 血漿成長ホルモン / 乳量 / 乳成分 / 血液中代謝産物濃度
研究概要

乳牛に米粉をリノール酸Caで皮膜処理して給与すると、米粉デンプンは第一胃発酵を受けずに小腸から吸収される。このルーメンバイパス性デンプンを泌乳開始80日以降の牛に1日1kg給与すると約3ヶ月間までの乳量はバイパス飼料構成材料給与牛や対照牛の乳量よりも多いことが前年までの試験で確認されている。この乳量増加の原因の一つには、ルーメンバイパス飼料給与によりルーメン発酵に影響を与えずにエネルギー供給できるために牛における採食に伴う成長ホルモン分泌低下が抑制されることが挙げられる。本年度の研究では、バイパス性デンプン給与が泌乳牛の血中成長ホルモン(GH)・インスリン様成長因子(IGF-1)濃度に及ぼす影響を検討した。
グラスサイレージ及びコーンサイレージを不断給与し配合飼料を乳量比例給与された泌乳開始約100日の泌乳牛群を3区に分け、試験区にはバイパス加工したデンプンを一日当たり体重比約0.2%相当量(1kg)給与し、材料区にはバイパス加工に用いたリノール酸Caと米粉を各0.5kg給与した。試験開始後25日目に血漿GHプロファイルを観察するために、24時間15分間隔で頸静脈カテーテルより採血し血漿GH濃度を測定した。
バイパス性デンプン給与泌乳牛の一日の血漿GH平均濃度は5.5±2.0ng/mlで材料区や対照区よりも高い傾向がみられた。又、GHパルス頻度およびパルス幅には個体間の差が大きく処理間に明確な違いはみられなかった。
一方、泌乳中期牛にバイパス性デンプン給与を6ヵ月続けた試験において1ヵ月毎に測定した血漿IGF-1濃度は試験区(111.1ng/ml)と材料区(120.7ng/ml)が対照区(89.4ng/ml)よりも有意に高かった。(P<0.05)血漿IGF-1濃度はGH分泌によって高められると共に、動物の栄養状態の高さに比例して上昇することが知られており、本研究におけるバイパス性デンプン給与牛の血漿GH濃度の動向と血漿IGF-1濃度とは必ずしも対応がみられず、デンプンのバイパス加工給与による採食後のGH分泌抑制解除の発現は確認できなかった。今後GH分泌刺激剤負荷反応などによる更なる検討が必要と思われた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Vonika, N., K.Tomoshi, H.Inoue, H.Kuwayama, H.Hidari: "Effect of atropine and pyridostigmine on growth hormone (GH) response to GH-releasing peptide-2(GHRP-2) and GH-releasing hormone (GHRH) in swine"Animal Science Journal. 72(4). 129-136 (2003)

  • [文献書誌] Vonika, N., K.Tomoshi, H.Inoue, N.Matsunaga, H.Kuwayama, H.Hidari: "Effect of exogenous porcine GH administration on GH responses to GH-releasing peptide-2 and GH-releasing hormone in swine"Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. (in press).

  • [文献書誌] Vonika, N., H.Inoue, H.G.Lee, N.Matsunaga, H.Kuwayama, H.Hidari: "Effect of twice daily administration of GH-releasing peptide-2 for 10 days on growth performance, plasma GH responses and insulin-like growth factor-1 concentrations in swine"Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. (in press).

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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