研究課題/領域番号 |
13460117
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
金丸 義敬 岐阜大学, 農学部, 教授 (50111795)
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研究分担者 |
海老名 卓三郎 宮城県がんセンター研究所, 部長
長岡 利 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50202221)
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キーワード | α-ラクトアルブミン / β-ラクトグロブリン / フォールディング変異体 / アポトーシス / 分化誘導 / ヒトロタウィルス / 細胞感染実験 / 動物感染実験 |
研究概要 |
牛乳乳清の主要タンパク質であるα-ラクトアルブミン(α-LA)は細胞を傷害し、細胞死(アポトーシス)を誘導するのに対して、β-ラクトグロブリン(β-LG)は細胞の増殖を停止させる一方で、機能上の分化を誘導する作用を示す。本研究では、それらの作用が感染防御において有用な生理的意義を持つことをin vitro及びin vivoで検証することを目的とし、本年度は以下のような研究成果を得た。 (1)モノクローナル抗体作製:β-LGについて有望なハイブリドーマ株を選別し、培養上清中の抗体を用いた特異性の検討の結果、牛乳β-LG特異モノクローナル抗体であることが確認された。一方、α-LAについては現在のところ有望なハイブリドーマの作製にいたってはいない。継続して検討中である。 (2)細胞成長の負の調節作用確認:DNAフラグメント化についてチミジン取り込み法及び市販キットによる検討を行い、α-LAによるアポトーシス誘導の強い示唆を得た。継続して確認実験中である。β-LGについてはWST-1法による検討を行い、成長阻害を確認した。細胞表層酵素活性の測定による機能分化の確認実験を継続して計画中である。 (3)細胞調節と分子構造相関:クロマトグラフィーによる活性分子種の検討を行った。α-LAについては、Superdex75のゲルろ過で分離される高分子量化した分子種には活性が認められず、単量体フラクションに活性が認められたことから、活性分子種はコンフォメーション変化を起こした単量体のフォールディング変異体であることが予測された。β-LGも同様にSuperdex75のゲルろ過で分画したところ、高分子量化した分子種を含むフラクションに強い活性が認められ、単量体フラクションには活性がほとんど認められなかった。従って、β-LGの活性分子種はコンフォメーション変化にともなって高分子量化したフォールディング変異体であることが予測された。現在それらの変異体の常乳からの分離を種々試みている。 (4)動物への投与の影響評価:ヒトロタウィルス感染の動物実験モデル系を用いて、感染後のα-LA投与の影響を観察したが、下痢からの回復時間の短縮を認めるにはいたらなかった。用いたα-LAのアポトーシス誘導活性が低かったことと投与量が十分ではなかったことが理由と思われる。
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