幼雛における摂食・睡眠行動の制御機構解明に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13460118
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
• 研究分担者: 豊後 貴嗣 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40325361)
• キーワード: CRF / α-MSH / GRF / Ghrelin / Ketone body / AGRP / Catecholamine / Chick

研究概要

ニワトリヒナの脳内において副腎皮質刺激ホルモン放出因子は、摂食を抑制し、行動量を高める作用を持つことが判明した。交感神経系のヒナの発育への影響を見るために交感神経の働きをグアネチジンにより遮断したところ、成長や脳の発育が阻害された。カテコラミンの摂食への影響を調査するために、アドレナリンのα_1とα_2受容体の拮抗薬をそれぞれ脳室内に投与した。その結果、α_2受容体の拮抗薬により摂食が阻害され、α_1受容体の拮抗薬では変化が認められなかった。この結果より、ヒナの摂食行動におけるα_2受容体の重要性が示唆された。成長ホルモンの分泌を促すことが知られる成長ホルモン放出因子やグレリンは、哺乳動物の摂食を亢進することが報告されていた。ところがニワトリヒナにおいては、これらのペプチドホルモンにより摂食は阻害され、種特異的な作用が明らかとなった。α-メラノ細胞刺激ホルモンはヒナの中枢において摂食を抑制するが、その拮抗薬であるアグーチ関連蛋白質を脳室に投与した際に、採卵用型に育種選抜したヒナにおいては摂食が亢進したが、肉用型に育種選抜したブロイラーヒナでは作用が認められなかった。この事実から、ブロイラーの育種選抜には脳内のα-メラノ細胞刺激ホルモン産生が少ない個体が選ばれてきたと推察された。脂肪酸の酸化により産生するケトン体がヒナの摂食に及ぼす影響を調べたところ、脳室に投与してもあるいは腹腔に投与しても著しく摂食を抑制することが判明した。そこで脂肪酸の酸化をメルカプト酢酸で止めたところ、摂食の亢進は認められず、むしろ強い抑制が起こった。

研究成果

• [文献書誌] Ohgushi, A. et al.: "Relationships between feeding and locomotion behaviors after central administration of CBF---"Physiol.Behav.. 72(1-2). 287-289 (2001)
• [文献書誌] Bungo, T. et al.: "The role of central catecholaminergic systems in regulation of food intake of chicks"J.Poult.Sci.. 38(1). 35-40 (2001)
• [文献書誌] Bungo, T. et al.: "Chronic inhibition of the sympathetic nervous system with guanethidine : Effect of body and---"J.Appl.Anim. Res.. 19(1). 97-106 (2001)
• [文献書誌] Furuse, M. et al.: "Intracerebroventricular injection of ghrelin and growth hormone releasing factor inhibits---"Neurosci.Lett.. 301(2). 123-126 (2001)
• [文献書誌] Tachibana, T. et al.: "Intracerebroventricular injection of agoutirelated protein attenuates the anorexigenic---"Neurosci.Lett.. 305(2). 131-134 (2001)
• [文献書誌] Sashihara, K. et al.: "Influence of ketone body and the inhibition of fatty acid oxidation on the food intake of---"Br.Poult.Sci.. 42(3). 405-408 (2001)
• [文献書誌] Bungo, T., Furuse, M.: "Avian Endocrinology"Dawson, A. and Chaturvedi, C.M. Alpha Science International Ltd.. 12 (2001)