研究概要 |
本研究では、バイパス澱粉を哺乳子牛および子ヤギに給与して、体内のグルコース代謝と窒素代謝をカイネテイクスとして捕らえ、その内分泌調節機構を明らかにする。さらに消化管上皮に存在するNa^+グルコーストランスポーター1(SGLT-1)の発現に対するバイパス澱粉の影響を明らかにすることによって、新生反芻家畜の離乳時におけるバイパス澱粉の効果を解析する。新生子牛12頭と仔ヤギ12頭を用いて離乳時の6週齢から13週齢までバイパス澱粉区と澱粉区の2つの区(ウシ、ヤギとも各区4頭)で分けて飼育した。また2〜3週齢で屠殺する区(ウシ、ヤギとも4頭)も設定した。糖代謝、窒素代謝の動態は、^2H,^<13>C-グルコースおよび^<15>N、^<13>C-尿素等の安定同位体を用いた同位元素希釈法により測定し、ホルモンについてはインスリン、GH, IGF-1をRIAで測定した。ウシは3,7および13週齢時に、ヤギは2および13週齢時に屠殺し、それぞれの胃腸管各部位の腸管上皮を採取し、半定量的RT-PCR法によりSGLT-1の発現量を測定した。糖代謝、窒素代謝および代謝性ホルモンは離乳による栄養素摂取課程に伴って変化したが、バイパス澱粉給与では、アミノ-Nとインスリンが低下する傾向を示し、他のパラメーターには明確な効果は見られなかった。SGLT-1の発現は、ヤギでは離乳前の胃腸管各部位で確認され、特に十二指腸、空腸、回腸で著しく高い発現が認められた。離乳後の13週齢では、離乳前の2週齢と比較して十二指腸、空腸、回腸で発現が顕著に減少していた。しかし、13週齢時のバイパス澱粉区と対照区の間では、有意の差は見られなかった。哺乳子牛では回腸を除く全部位でSGLT-1の発現が確認され、空腸で最も高かったが、13週齢では空腸でのSGLT-1の発現が減少した。しかしヤギと同様バイパス澱粉区と対照区の間では、差が見られなかった。
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