研究課題/領域番号 |
13460125
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研究機関 | 名古屋文理大学 |
研究代表者 |
奥村 純市 名古屋文理大学, 情報文化学部, 教授 (10023425)
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研究分担者 |
村井 篤嗣 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (10313975)
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キーワード | 鳥類 / ニワトリ / 脂肪酸結合蛋白質 / 肝臓 / FABP / 孵化 / C / EBP-α / 脂質代謝 |
研究概要 |
脂質代謝系蛋白質の発現を転写レベルで調節するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)-αおよび脂肪酸結合蛋白質(FABP)は体内での脂質利用性を制御する重要な因子と推察されている。本研究では、鳥類で発現する2種類のFABP(肝臓(L)型および肝臓塩基性(Lb)型)がPPAR-α以外(転写因子により発現調節を受けるのか、さらに細胞培養系を利用し、両FABPが肝臓の脂質代謝へ及ぼす影響を調査した。 孵化前、孵化後のニワトリヒナから肝臓を採取し、脂肪代謝系酵素の発現を転写レベルで制御するC/EBP-αの遺伝子発現量を調査し、FABP発現量の変化と連動するかについて調査した。孵化直後から、L型FABPおよびLb型FABPともに急激に発現量が増加したが、C/EBP-α遺伝子発現量には変化が見られなかった。また、C/EBPグループに属する他の転写因子群の発現量も調査したが、両FABPの発現と連動した変化は観察されなかった。一方、絶食下で両FABP発現量は減少し、この際にはC/EBP-αの遺伝子発現量も連動して減少することが判明した。しかしながら、PPAR-α発現量は一貫して同じ発現レベルを維持した。 また、両FABPの生理機能解析にも取り組み、ニワトリ肝実質細胞に由来するLMH細胞でL型FABPあるいはLb型FABPを過剰に発現させた状態で、細胞内への脂肪酸取り込み速度を測定した。また、両FABPを過剰発現させておき、細胞を多量の脂肪酸に暴露した時の細胞内における脂肪蓄積量についても調査した。しかしながら、両実験において、FABPの過剰発現により脂肪酸の取り込み速度と蓄積量を変動させるには至らなかった。したがって、FABPは細胞内における脂肪の動態を積極的に変化させる因子ではないと推察された。
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