研究概要 |
本研究で得られた成果の概要は以下の通りである。 1.標的遺伝子の塩基配列決定;気質に関連すると考えられる脳内モノアミン関連遺伝子を中心として,Tyrosine hydroxylasae (TH),Dopamine β hydroxylase(DBH),5HT1B受容体(5HTR1B)など12遺伝子の翻訳領域および一部のイントロン部位の塩基配列を決定した。 2.多型部位の同定;上記12遺伝子に加えて既知の興奮性アミノ酸transporters(GLAST,EAAT,GLT1)遺伝子において多型を探索したところ,9遺伝子27ヵ所の多型部位を同定した。 3.犬の遺伝子バンク作出;多型出現頻度の犬種差および気質との関連を検索する目的で,行動特性の異なる5犬種(ゴールデンリトリバー,ラブラドールレトリバー,マルチーズ,ミニチュアシュナウザー,シバ)について,11カ所の動物病院の協力を得て血液サンプル(計253サンプル)の収集と行動特性調査アンケートを実施した。 4.各種多型出現頻度の犬種差解析;現在までに解析が終了している5遺伝子の15多型のうち14多型については全て犬種差が存在することが明らかとなった。 5.各種多型と気質の関連解析;我々が同定した多型に既報の3遺伝子5多型について解析したところ,DBH遺伝子のC789A多型と"遊び好き"や5HTR1B遺伝子のG246A多型と"犬に対する攻撃性"などいくつかの遺伝子多型については気質との関連が示唆された。
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