研究課題/領域番号 |
13460138
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
岡田 幸助 岩手大学, 農学部, 教授 (50002077)
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研究分担者 |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00109521)
間 陽子 理化学研究所, 研究員 (82401999)
平田 統一 岩手大学, 農学部, 助手 (20241490)
御領 政信 岩手大学, 農学部, 助教授 (80153774)
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キーワード | 牛白血病ウイルス / 羊 / MHC class II / 発症抵抗性 / アポトーシス / Fasレセプター / CD5陰性B細胞 / CD5陰性B細胞 |
研究概要 |
【目的】ヒツジMHC(OLA)クラスII遺伝子群の中でβ鎖をコードするDRB1は高度に多型性に富み、さらに、疾患との関連性も強く示唆されている。我々は、DRB1の第2エクソンがコードするβ鎖の70/71位のアミノ酸残基がR/Kであるアリルをヘテロで保有する個体は牛白血病ウイルス(BLV)誘発性の白血病発症に抵抗性に、一方、70/71位がS/Rであるアリルを保有する個体は感受性を示すことを報告している。今回我々は、ヒツジを用いたBLV実験感染を行い、抵抗性と感受性のアリルによって誘導される免疫応答の差異について比較検討した。 【方法:結果】OLA-DRB1第2エクソンの70/71位のアミノ酸残基がRK/RKおよびRK/SRである個体を各2頭ずつ選抜し抵抗性群、SR/SRである個体を4頭選抜し感受性群とし、各々にBLV感染牛の血液1mlを皮下接種した。接種後51週目までに、両群においてウイルス動態に明確な差は認められず、そのレベルは低く維持されていた。抵抗性群では、IgM陽性細胞の増加と中和抗体の上昇が観察された。一方、感受性群は、リンパ球幼若化試験においてBLV抗原に対して高反応性を示した。またBLV由来ペプチドを添加した結果、TcおよびBエピトープペプチドに対し高反応性を示したが、Thエピトープペプチドに対しては反応は認められなかった。さらに、感受性群においてBLV抗原によって誘導されるリンパ球幼若化反応系に単クローン性抗体(MHCclassI、classII、CD4、CD8)を添加した。これらの全ての抗体により濃度依存性に増殖反応が抑制されたことから、BLV抗原に対する増殖反応はMHC依存性であることが証明された。 【考察】BLV感染羊においてMHCのアリル間おいて免疫応答に差異があること、特に、抵抗性群ではBLVに対する中和抗体が強く誘導されることが明かとなった。 以上のほかBLV感染羊由来末梢血単核球のex vivo培養においてCD5陰性B細胞が特異的にアポトーシスの抑制を誘導することを見いだした。この抑制にはFasレセプターの発現抑制が関与している可能性が示唆された。 現在、免疫組織学的検索、in situ hybridization、CD4陽性T細胞の増殖活性について検索中である。
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