研究課題/領域番号 |
13460141
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
|
研究分担者 |
阿閉 泰郎 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90151084)
小森 成一 岐阜大学, 農学部, 教授 (70195866)
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
|
キーワード | ロタウイルス / NSP4 / 下痢 / エンテロトキシン領域 / 哺乳マウス / モノクローナル抗体 / 抗原性状 |
研究概要 |
本研究の目的は、人や動物に重篤な下痢を引き起こすロタウイルス感染症の発症機序を、分子生物学的に解明することである。研究初年度の本年は、以下の成果が得られた。 1.発病機序を明確にするために、トリロタウイルスを用いて、哺乳マウスをモデルに異種間感染を試みた。その結果、哺乳マウスはハト由来のPO-13株の経口投与により、摂取量及び日齢に依存して下痢を起こした。しかし七面鳥由来Ty-1とTy-3及び鶏由来のCh-1株では発病しなかった。発病マウスの腸管吸収上皮細胞における病変とウイルス抗原の分布状況は一致せず、NSP4の関与が示唆された。(Virology 2001) 2.マウスに下痢を起こす株と起こさない株からのNSP4を大腸菌で発現精製し、それらを哺乳マウスの腹腔内に投与したところ、いずれのNSP4もマウスに下痢を起こさせた。各種欠損PO-13株NSP4を作製し、それらのマウス接種実験から下痢原性を示すエンテロトキシン活性部位がアミノ酸109-135位に存在することが確認された。(J.Virol.,2002 in press) 3.各ウイルスのNSP4遺伝子の配列は、Ch-1株を除き良く保存されていた。Ch-1株とは78-79%、哺乳類由来株とでは33-37%の相同性であった。しかし、エンテロトキシン活性部位のアミノ酸配列は、トリロタウイルス株間では、Ch-1株での1カ所を除き100%一致していた。また、哺乳類トリロタウイルスとの間でも50-59%保存されていた。(Virus Genes発表予定) 以上の結果、NSP4が下痢発現に重要な役割をしており、その109-135位のアミノ酸領域がエンテロトキシン分子であることが確認された。今後、NSP4の細胞結合部位の同定と抗原性状の解明及び細胞側の生理学的反応を解明し、下痢発現防止法を確立する予定である。
|