研究課題/領域番号 |
13460149
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷本 啓司 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (90261776)
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研究分担者 |
石田 純治 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30323257)
杉山 文博 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90226481)
深水 昭吉 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (60199172)
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キーワード | グロビン / インシュレーター / YAC(酵母人工染色体) / トランスジェニック・マウス |
研究概要 |
ヒト・β-グロビン(hβ-glb)遺伝子座において、インシュレーター活性を有することが示唆されているHS5 DNA断片をそのまま(HS5-TgM)、あるいは、インシュレーターの分子基盤と考えられる転写因子CTCFの結合配列を破壊した後(HS5dCTCF-TgM)に、HS1の3'側に挿入したhβ-glb YAC(酵母人工染色体)を構築した。これらをマウス受精卵の雄性前核に顕微注入することによりトランスジェニック・マウスを作製した。これらマウスの脾臓・赤血球におけるβ-グロビン遺伝子の発現量を半定量的RT-PCR法により調べたところ、HS5-TgMでは、野生型と比べてその発現量が50-70%低下していた。この表現型はHS5dCTCF-TgMでは見られないことから、HS5がCTCF依存的なインシュレーター活性を持つことが明らかとなった。次に、胚期におけるγ-グロビン遺伝子の発現を調べたところ、野生型、HS5-TgM、HS5dCTCF-TgMの3者の間で有意な差は認められなかったことから、インシュレーター活性には遺伝子特異性がある可能性が示唆された。さらに胚期のε遺伝子に関してはHS5-TgM、HS5dCTCF-TgM、ともに、野生型と比べて著しく低い発現量を示し、HS5が同遺伝子に対してCTCF非依存的な転写抑制活性を持つ可能性が示唆された。 以上の結果から、hβ-glb遺伝子座を用いた本実験系がインシュレーター活性を検証する上で有効な手段となりうることが明らかとなった。
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