研究課題/領域番号 |
13460151
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
蔡 晃植 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00263442)
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研究分担者 |
岩野 恵 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教務職員 (50160130)
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キーワード | 過敏感細胞死 / 活性酸素 / NADPH oxidase / 形質転換体 / 抵抗性反応 / 電子顕微鏡 / 誘導型発現ベクター / プログラム細胞死 |
研究概要 |
植物の抵抗性反応の一つと考えられている過敏感細胞死の誘導機構を解析するため本年度は主に活性酸素の過敏感細胞死誘導と過敏感細胞死の実行に関与するのではないかと考えているOsAMPk-γに関して解析を行った。 1.過敏感細胞死誘導への活性酸素の関与とその発生機構 イネ培養細胞の過敏感細胞死誘導への活性酸素の関与を明らかにするため、イネ培養細胞にPseudomonas avenaeの非親和性菌と親和性菌をそれぞれ接種し、発生するH_2O_2を経時的に検出した。その結果、非親和性菌接種時のみで.H_2O_2の発生が接種後6時間から観察された。次に、発生するH_2O_2をCeCl_3と反応させ、透過型電子顕微鏡で観察したところ、細胞壁及び細胞膜付近でH_2O_2が発生していることが明らかになった。そこで、細胞膜に存在すると考えられているイネのNADPH oxidaseであるOsrbohA遺伝子の変動をノーザンプロツト解析で調べたところ、この遺伝子の発現は非親和性菌接種時のみで増加した。次に、OsrbohAのアンチセンス形質転換体を作製し解析したところ、得られた形質転換体は非親和性菌接種でもH_2O_2が発生せず、過敏感細胞死も誘導しないことが示され、OsrbohAによって発生するH_2O_2が細胞死誘導することが証明された。 2.イネOsAMPK-γの過敏感細胞死への関与 非親和性菌接種時に発現抑制が認められたイネAMP-activated protein kinase(AMPK)γサブユニット(OsAMPK-γ)の構造的特徴及び抵抗性反応誘導への関与について調べた。OsAMPK-γ mRNAは、非親和性菌を接種したイネ培養細胞で、過敏感細胞死が誘導されるより早い接種後3時間から発現量が減少した。次に、グルココルチコイド誘導型プロモーターの下流にセンス、アンチセンスでOsAMPK-γの遺伝子を結合したベクターを用い、それぞれ形質転換体を作製した。得られた形質転換培養細胞に10μM Dexamethasone(DEX)を加え、導入遺伝子を発現させたところ、アンチセンス形質転換体の3系統で処理後24時間から細胞死が誘導された。以上の結果は、OsAMPK-γの発現抑制が過敏感細胞死誘導に関与することを示している。
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