ミトコンドリアに局在する新規高分子量G蛋白質mOPA1について、結合蛋白を同定し、mOPA1が局在するミトコンドリアを断片化する機構について解析することにより、mOPA1の生理的機能を解明することを目的として研究を進め、以下の知見を得た。(1)酵母two-hybrid法により、mOPA1と相互作用する分子として、3量体G蛋白質調節因子であるRGS14、GABAA受容体alpha4サブユニット、moPA1自身のC末端断片、および数種の新規遺伝子を同定した。(2)moPA1がミトコンドリア形態に及ぼす作用を、2種類のミトコンドリアマーカーを使用して詳細に解析した。膜間部分は、内在性に発現するチトクロームC蛋白質の抗体染色によって標識し、マトリックスは、マトリックスヘ移行することが知られている緑色蛍光タンパク質(EYFP-mito)の遺伝子導入により標識した。その結果、マトリックスは主にリング状もし<は馬蹄形様の形状をしており、そのリング状構造の一部分に膜間部分とmOPA1とが共局在している様子が認められた。すなわち、mOPA1は遺伝子導入した細胞内においてミトコンドリア膜間部分に局在しミトコンドリア内膜に何らかの作用を与えることによりミトコンドリア断片化を導いていることが示唆された。(3)mOPA1の遺伝子導入により観察されるミトコンドリアの形態変化に、mOPA1のGタンパク質としての機能が関与するかどうかを検討するため、GTP結合モチーフに点変異を導入した変異体を用いて解析を行った。その結果、変異体を遺伝子導入した細胞においても、野生型の場合と同様にミトコンドリアが断片化されること、しかし野生型を導入した場合とは異なり、変異体と膜間部分マーカー、マトリックスマーカーの3者の局在はほぼ完全に一致することが明らかになった。
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