心筋は自ら収縮能を持つと同時に、拡張・収縮を繰返している。また、心房圧上昇などに起因する不整脈・心不全の報告がある。これまでに、トリ培養心筋には5種類のSAチャネルが存在することが報告されているが、我々は、特にコンダクタンスが大きいカリウム透過性SAチャネルに注目し解析を行ってきた。近年、このチャネルのクローニングに成功し、このSAチャネルがカルシウム依存性カリウムチャネルと非常に高い相同性をもつことを見出した。この機械受容チャネルをSA-Kcaチャネルと命名し、その構造と機械刺激依存性の関連を解析した。 この遺伝子をCHO細胞に一過性に発現すると280pS(140mM K)のコンダクタンスをもつカリウム透過性チャネルを発現し、ピペット内に陰圧を加えることにより活性化されたことから機械受容チャネルであることが確認された。これまでにクローン化されたラット・マウス・ウサギなどのカルシウム依存性カリウムチャネルがクローン化されているが、機械刺激依存性が報告されていない。実際、そのクローンを入手し同条件での実験を行ったが機械感受性を認めなかった。そこで配列を比較したところ従来STREX配列とよばれるストレスホルモンによって誘導されるalternative splicingが重要であることが判明した。SA-KcaチャネルにはこのSTREX配列が存在し、この部分を除去したクローンSA-Kca-del mutantでは伸展刺激感受性が消えた。また、ラット・マウス・ウサギのSTREX配列のあるvariantは伸展刺激感受性がないので、SA-KcaのSTREX配列と比較したところ672-4位のERA配列であることが重要であることが示唆された。
|