研究概要 |
SAチャネルの機械受容機構は多くの研究があるのにもかかわらず不明な点が多い。これまでの研究により、トリ心筋細胞に存在する数種類の機械受容チャネルのうち、特に約280pSのコンダクタンスをもつSAチャネルについて詳しい解析を行なった。パッチクランプ法による解析の結果、SA-K_<Ca,ATP>チャネルであることが判明した。このチャネルはガドリニウムによりブロックされるというSAチャネルの一般的性質を持つとともに、細胞質側のカルシウム濃度によって制御されるBK(Big K)チャネルであった。BKチャネルの遺伝子配列を基に幾つかのdegenerate primersを作成し、トリ心筋細胞から作成したcDNAライボラリーに対してPCRを試みたところPCR産物が得られ、それをプローブとしてライブラリーをスクリーニングしたところ、約3.5kbpのクローンを得ることが出来た。このクローンを発現ベクターに組込み、パッチクランプ法にて解析を行なった結果、膜伸展刺激に応じて開確率を上昇させる機械受容チャネルであることが判明した。この機械受容チャネルをSAKCAと命名し、その構造-機能連関を解析したところ、STREX配列とよばれる59アミノ酸からなるalternative splicingが重要であることが判明した。この配列を除去したミュータントでは機械受容活性はまったく消失した。しかし、他種(マウス・ウサギ)のSTREX配列を持つvariantで機械受容活性はまったく報告されていないことから、トリSTREX配列に特異的な部位が機械受容活性に重要な役割を果たしていることが示唆された。その配列に基づきミュータントAla^<674> to Thr^<674>を作成したところ、完全に機械受容活性を抑制することに成功した。STREX-GFPをSAKCAと共発現したところ細胞膜にGFPが検出され、機械感受性をブロックすることが出来た。
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