研究課題/領域番号 |
13470010
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80010081)
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研究分担者 |
淡路 健雄 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60297546)
河内 全 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70322485)
尾田 正二 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50266714)
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キーワード | 受精 / 哺乳動物卵 / 卵活性化 / 卵活性化蛋白質 / 細胞内カルシウムイオン / カルシウムオシレーション / 精子一卵融合 / CD9 |
研究概要 |
哺乳動物の成熟卵は第二減数分裂の中期に停止しており、受精時の細胞内カルシウムイオン(以下Ca^<2+>)濃度の反復性増加(Ca^<2+>オシレーション)が引き金になって減数分裂を再開し、卵内に取り込まれた精子核と卵核とが合同して受精が完結する。これを卵活性化と言う。本研究は、精子細胞質に存在すると考えられる卵活性化蛋白質(Egg Activating Protein, EAP)を精製・同定することを目的として行われている。EAPはCa^<2+>オシレーションを誘発する蛋白質であるという想定のもとに、EAPを精子あるいは精巣から分離し、マウス卵内に注入してCa^<2+>オシレーション誘発活性をCa^<2+>画像解析を用いて検定した。ハムスターの精巣上体から精子を採取しフレンチプレスによって破砕後、超遠心して上清を回収した。硫安分画→陰イオン交換クロマトグラフィー(1)→陽イオン交換クロマト→ゲル濾過(1)→ハイドロシキアパタイト吸着クロマト→疎水クロマト→陰イオン交換クロマト(2)→ゲル濾過(2)と精製を進めたが、活性が消失ないし複数成分に分離してしまった。他方、ブタ精巣をダウンスホモジェナイザーで破砕し、不溶性画分を遠心除去し細胞質画分を抽出。硫安分画→疎水クロマト→Redアフィニティークロマト→ゲル濾過→陰イオン交換クロマトと精製を進めた。EAPの至適pHは6.5-7.5、分子量は40〜100kDaで不均一な分布を示し、複数の特異的な結合蛋白質を含む複合体として存在することが推測された。さらに実験を進めつつある。 EAPは受精初めの精子一卵融合時に精子細胞質から卵細胞質に移行してCa^<2+>オシレーションを誘発すると考えられる。我々は既に、表面分子CD9欠損マウス卵では精子一卵融合が起らず、Ca^<2+>オシレーションも起らないことを発表し、上記を裏づけた。今回、CD9欠損マウス卵にマウスCD9を強制発現させ、精子一卵融合能を獲得することを確認した。このときヒトCD9を発現させても機能が回復することから、ヒトCD9も精子一卵融合の必須要因として機能することが明らかにされた。
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