研究分担者 |
櫻井 映子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教務職員
照井 正 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30172109)
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80181155)
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
倉増 敦朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90302091)
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研究概要 |
私たちは,ヒスタミンの合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)遺伝子をノックアウトしたマウスを作製して,ヒスタミンの生体内における機能を評価した.この遺伝子はヒスタミンの合成能のある細胞,すなわち肥満細胞,好塩基球,神経細胞,胃壁細胞などで発現しており,その機能はアレルギー疾患,睡眠,胃液の分泌に重要な働きをしていることが判明した.また,今まで未知であった,感染,慢性肉芽種などにも影響をあたえることを明らかにした.すなわち,具体的には全身性アナフィラキシー反応においては,体温,呼吸パターンにヒスタミンは重要であるものの,血圧のコントロールにおける寄与は少なく,また,活動時に睡眠の脳波が占める割合が非常に多かった.更に,ガストリンによる胃酸の分泌において,ヒスタミンは必須な物質であった.腹腔内における大腸菌の感染モデルでは,ヒスタミンを抑制することによって,感染からの回復が早いことが判明した.また,ヒスタミンは慢性肉芽種の形成に重要であり,ヒスタミンがないと慢性肉芽種が形成されないことがあきらかになった.このように,ノックアウトマウスを使って生体内におこる反応を観察するとともに,in vitroにおいても興味ある知見を得た.すなわち,ノックアウトマウスの骨髄由来肥満細胞を用意し,培養液中にヒスタミンを加え,その吸収を観察すると,ヒスタミンは分泌顆粒内までとりこまれ,IgEを介する刺激で再び分泌することが判明した.
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