研究課題/領域番号 |
13470030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 和広 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80241628)
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研究分担者 |
武田 和久 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30311559)
藤井 義明 筑波大学, 先端学際領域研究センター, 客員教授 (00098146)
柴原 茂樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70206142)
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キーワード | ヘムオキシゲナーゼ / 低酸素 / アドレノメデュリン / 転写 / 腫瘍 / 血管内皮 |
研究概要 |
昨年度の検討にて、1%O_2の低酸素下では血管拡張性ペプチドのアドレノメデュリンの発現が誘導されること、ヒト由来の細胞では、これまでの報告とは逆に、ヘム分解酵素、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現が抑制されることが明らかとなった。今年度は、低酸素によるヘムオキシゲナーゼ-1の発現抑制現象の機構を重点的に解析した。 ヒトヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子のプロモーター解析を行ったところ、上流-4.5kbと-4.Okbの間に発現抑制現象に関わるエレメントが存在する可能性が示唆された。この部位には、カドミウム反応エレメント、AP-1結合配列とMaf recognition element (MARE)が一部重なり合うようにして存在している。MAREに対しては抑制性の転写因子でヘムによる機能調節を受けるBach1が結合することが、最近Igarashiらによって明らかにされたので、Bach1に注目して研究を進めた。ヒト由来の培養細胞では、1%O_2の低酸素下にてBach1の発現誘導が、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現抑制に先立って観察された。さらに、Bach1は、ヒトヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子のプロモーター領域に存在するMAREに作用して、遺伝子転写を抑制することを明らかにした。これらの結果から、ヒトでは低酸素下でBach1が誘導され、ヒトヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子プロモーターのMAREに作用して発現を抑制するものと考えられた。 以上、低酸素による遺伝子発現の抑制機構をはじめて明らかにした。
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