研究課題/領域番号 |
13470030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 和広 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80241628)
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研究分担者 |
武田 和久 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30311559)
藤井 義明 筑波大学, 先端学際領域研究センター, 客員教授 (00098146)
柴原 茂樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70206142)
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キーワード | ヘムオキシゲナーゼ / 低酸素 / アドレノメデュリン / 転写 / 腫瘍 / 血管内比 / ウロコルチン / オレキシン |
研究概要 |
昨年度までの検討にて、1)1%O2の低酸素下では、血管拡張性ペプチドのアドレノメデュリンの発現が誘導されること、2)ヒト由来の細胞では、ヘム分解酵素、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現が抑制されるが、この抑制現象は低酸素下でBach1が誘導され、ヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子プロモーターのMAREに作用することによって生じることを証明した。今年度は、低酸素における種々生理活性ペプチドについて、以下の点を明らかにした。 1.新たなコルチコトロピン放出因子(CRF)ファミリーペプチドであるウロコルチンIIIが、脳のみならず心臓や腎臓にも発現していることを証明し、虚血等のストレス時に生体防御因子として作用している可能性を示唆した。 2.視床下部に特異的に発現している神経ペプチド、オレキシンAは、覚醒刺激作用を有するが、睡眠時無呼吸症候群において重症度につれ血中値が低下し、無呼吸による脳の低酸素の病態に深く関与する可能性を示唆した。 3.アドレノメデュリンとエンドセリン-1の発現は、サイトカイン刺激によっても誘導されるが、この発現誘導は、グルココルチコイドによって抑制されることを明らかにした。 また、ヒトヘムオキシゲナーゼ-1については以下のことを発見した。 4.ヒト細胞においても、細胞の種類によっては、低酸素によって、ヘムオキシゲナーゼ-1の発現は誘導される。この誘導現象には、AP-1結合配列とMaf recognition element(MARE)が一部重なり合うようにして存在しているヘムオキシゲナーゼ遺伝子、上流-4.5kbと-4.0kbとの間の部分は関与しない。 以上の知見から、低酸素下においては、種々生理活性ペプチドやヘムオキシゲナーゼの発現が変化しており、病態と防御機構を形成しているものと考えられた。
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