研究課題/領域番号 |
13470043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森 秀樹 岐阜大学, 医学部, 教授 (70021433)
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研究分担者 |
廣瀬 善信 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (20293574)
吉見 直己 琉球大学, 医学部, 教授 (30166996)
山田 泰広 岐阜大学, 医学部, 助手 (70313872)
原 明 岐阜大学, 医学部, 助教授 (10242728)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 大腸癌 / 前癌病変 / β-Catenin / APC / BCAC / ACF |
研究概要 |
近年我々は、動物モデルを用いてβ-catenin-accumulated crypts (BCAC)を同定した。本研究では、まずBCACの生物学的特徴について動物モデルを用いて、さらなる検索を行った。ヒト家族性大腸腺腫症のモデルであるMinマウスでは大腸粘膜内に粘膜表面から同定できない、ACFとは独立した異型腺管巣を同定し、それらがApcのLOHを示すことをマイクロダイセクションを用いて示すことができた。これらの病変はβ-catenin蛋白の蓄積を伴い、BCACに一致する病変であった。さらにラットアゾキシメタン誘発大腸発癌モデルでは、BCACから大腸癌への進展の過程でβ-catenin遺伝子の変異が選択を受け、特定の変異を持つBCACのみが大腸癌へと進展することを示した。一方、ヒト大腸粘膜内におけるBCACの検索では、多くの組織切片を検索したものの、残念ながら明らかなヒトBCACの同定は不可能であった。与えられた研究期間内で、研究対象となる数のヒトBCACを集めることが出来ないと判断し、前癌性の研究対象として5mm以下のポリープに変更して検索を続けた。まず大腸発癌過程で中心的役割を果たすことが知られるβ-cateninの蓄積について、微小ポリープに関して免疫染色にて検索を行い、β-cateninの核への移行と異型性の増加、細胞増殖能の亢進が相関することを示した。さらに、微小ポリープにおけるAPC遺伝子、β-catenin遺伝子の変異を検討し、現在までヒト大腸癌で報告されてきたものと比較検討した。論文として発表するまでには至っていないものの、いくつか興味深い結果も得られ、近い将来にまとめることが出来ると考えている。今後とも、遺伝子変異のパターンに着目した前癌性の検討を続け、形態学的変化のみならず、分子生物学的特徴を検索することで、真のヒト大腸前癌病変の同定を目指したい。
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