研究課題/領域番号 |
13470050
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清木 元治 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10154634)
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研究分担者 |
森 英俊 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00323642)
後藤 勇 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40323638)
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キーワード | 膜型マトリックスメタロプロテアーゼ / MT5-MMP / 小脳 / 神経細胞軸策伸長 / 神経分化 |
研究概要 |
昨年度の研究から、MT5-MMPが発生過程で神経特異的に発現すること、成体でのMT5-MMPの強い発現が見られる部位は神経の可塑性があることから、MT5-MMPが可塑性の形成に何らかの関与をしている可能性が考えられた。また、小脳の発生においては移動中の顆粒細胞層にMT5-MMPが局在し、その同じ細胞層にゼラチン分解活性が確認された。一方で、MT5-MMPはヘパラン硫酸プロテオグリカン,コンドロイチン硫酸プロテオグリカンなど軸索伸長阻害効果をもつプロテオグリカンの分解活性が報告されている。実際、後根神経節分散初代培養でこれらの基質上で軸策の慎重が阻害される。MT5-MMPは成長円錐の先端に発現すること、本酵素の前処理によりプロテオグリカンの阻害効果を取り除くことから、MT5-MMPは神経回路の形成とその後の可塑性維持に関与することが予想された。このことを確認するためにMT5-MMPを欠失したマウスを作成して、その役割を解析した。 MT5-MMP欠損マウスは正常に生まれ、発育し、繁殖した。組織学的な検査によっても、脳の組織構築に異常は見出されなかった。このことから、発生過程でのMT5-MMPの機能は必須ではないか、代償するシステムが存在すると考えられた。個体レベルでの観察では、特に運動障害は見出されないが、自発運動の顕著な低下が認められた。その結果として、記憶障害の検査結果は判定不能であった。申請可塑性モデルとして用いられる、坐骨神経切断後に生じる知覚神経過敏(アロデニア)への関与を調べた。アロデニアでは脊髄後角内における感覚神経回路の可塑的変化をを伴って起こるとされる。MT5-MMP欠損マウスでは明らかに知覚過敏が起こりにくくなっており、生体での神経回路の可塑的変化にはMT5-MMPが関与する可能性が示された。
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